M32
蕪村の影響をつよく受けた作品だろう。
蕪女倶して内裏拝まんおぼろ月
鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分かな 蕪村
烏帽子は昔、貴人が平服時かぶった。階級によって形が変わり、無官者は儀式の時にかぶったもの。使いは美少年か、奇妙に艶っぽいイメージも興るようである。
碧梧桐にこうした着想もあったが、中村草田男はこの句を、
碧梧桐はローマン主義の素質をもちながら、以後、ローマン精神の根本義を自覚せずに失敗。
とした。
しかし、あらかじめある主義とか美意識は必要ないはず。時代が個々に、あたらしい時代のあたらしい艶も呉れる筈だから―。
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