前頭芋

詩人・来空(らいくう)による、リトル・ポエムの世界

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ラバ深みよる瀬の汐のド黒口に釣れて

S3

碧梧桐は釣りにはげむ釣人でもあった。作品も多く発表されたが、この句以後、作品にルビがつけられはじめたことに注目しておきたい。

火山桜島の周辺には溶岩(ラバ)が屹立した、深い溝のような海があり、その辺は波も立たず、数限りない魚が集まっている。晴れた日は海水もすきとおって見えるが、雲みかげになると紺碧も黒々とした水面になる。折しも上汐によせるド黒い海面からピチピチとした魚を釣り上げたのである。(阿部喜三男)

「ラバ深み」と説明して休止を置き「よる瀬の汐の」とその海瀬の活動的光景を、「の」を重ねて心の張りを表して、活動的感情語とし、ここに小休止を置いて、「ド黒口に釣れて」と釣り得た喜びを軽く結んだ。この場合の「の」の重ね方、「ド黒口」の独自な表現は、この雄大な光景の中に層一層と力強い特性を表し得て、いまだ誰もよくなし得なかったところを読み得ている。(風間直得)

このように、細かに解説された時代もあったのである。
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